放射温度計とは
― 触れずに「温度の姿」を読み取る技術 ―
「触れずに温度を測る」。
こう聞くと少し不思議に感じるかもしれません。けれど、私たちのまわりにある物体はすべて、温度に応じて赤外線(熱放射)を放っています。放射温度計は、その“見えないサイン”をとらえて温度を推定する計測器です。

接触式の温度計がじっくり対象物と温度がなじむのを待つのに対し、放射温度計は赤外線を検知するだけ。対象に触れる必要はありません。
高温の金属も、動き続けるフィルムも、手が届かない炉内も、距離を保ったまま温度を把握できる。
これが、放射温度計の本質的な魅力です。
温度と熱放射の関係
温度とは、物体をつくる分子や原子がどれくらい活発に運動しているかを示す量です。
この運動が激しくなるほど、物体はより強い赤外線を放射します。
熱が伝わる仕組みは3つあります。
- 熱伝導:触れて伝わる
- 対流:流れによって運ばれる
- 熱放射:電磁波として空間を移動する
放射温度計は、このうちの「熱放射」を利用します。
電磁波は空気が流れなくても、真空でも伝わるため、接触できない対象や高温環境でも測定が可能です。
“温度のクセ”を読むしくみ
物体の温度が上がるほど、放射エネルギーは強くなり、赤外線の波長も短い方へ寄っていきます。
放射温度計はこの“温度特有の変化”を読み取り、温度へ換算します。
内部は、
- 赤外線を集める 集光系
- 集めた光を電気信号に変える 光電変換系
- 信号を温度に変える 電子回路
の3つで構成されます。
一見シンプルに見えますが、光学設計・材料特性・電子制御が組み合わさる精密な世界です。
放射率と測定精度
放射率とは「その物体がどれくらい赤外線を放射しやすいか」を示す値です。
黒くてザラついた表面は放射率が高く、鏡面の金属は放射率が低い傾向にあります。
同じ材質でも、
- 表面が磨かれているか
- 酸化しているか
- 測定波長がどこか
といった条件で放射率は変化します。
正確な測定のためには、対象に合わせた放射率設定が欠かせません。
意図しない誤差が出やすい環境では、放射率の影響を受けにくい 2色(比率)温度計が選ばれることもあります。
放射温度計の種類
放射温度計は、用途や測定原理によりいくつかのタイプに分かれます。
単色(1波長)形
もっとも一般的な方式。
特定波長の赤外線強度から温度を算出します。
対象物が全て視野内に入っている必要があります。
2色(比率)形
2つの波長の比から温度を求めます。
放射率が変化しやすい金属表面や、蒸気や粉塵が多い環境でも測定が安定しやすいのが特徴です。
対象物が視野内に全て入っていなくても正しい温度測定が可能です。
ジャパンセンサーでは、用途別に選べる多彩なモデルをご用意しています。
測定距離と視野の関係
放射温度計は「どの範囲を見ているか」が非常に大切です。
レンズが捉える視野の範囲をスポット径と呼びます。
スポット径より対象物が小さいと、背景の温度が混ざり誤差が生じます。
一般的には、対象物がスポット径の1.5倍以上 程度あると安定します。
また、温度計と対象物との間=光路に遮蔽物が入る“視野欠け”にも要注意。
単色型放射温度計の場合は光路に少しでも対象物以外のものが入ると測定値は低く出てしまいます。このような場合は2色温度計が有効です。
ジャパンセンサーでは、φ0.15 mmの微小スポットを正確に測れるモデルや、長距離でも安定する光学設計など、幅広い環境に対応したラインナップを揃えています。
放射温度計が選ばれる理由
放射温度計が産業の現場で広く使われる理由ははっきりしています。
1. 高速応答
接触式温度計の場合、熱伝導によって対象物とセンサが同じ温度になるまで数秒かかります。熱的容量の関係で、どうしても時間を要するのです。
一方、放射温度計は赤外線が光速で伝播するため、0.1ms〜数msという高速での温度測定が可能です。一瞬の温度変化も見逃しません。
2. 非接触測温の利点
非接触で測れることには、大きく2つの利点があります。
-
1. 遠隔測定
- 隔離測定:炉内の温度を窓越しに測定
- 移動物体測定:ライン上を流れる製品の温度
- 高温物体測定:接触式では測定できない数千℃の対象物
-
2. 測定対象物の温度を乱さない測定
接触式温度計では、センサ部が対象に触れることで測定対象の温度が変化してしまいます。
放射温度計では、測定対象の温度を変化させることなく測定できるため、以下のような用途に効果的です。- 小熱容量物体:フィルム、紙など薄い材料
- 表面温度測定:金属の表面処理、コーティング直後
3. 過酷環境への対応
- 電磁ノイズが多い環境(誘導加熱設備周辺)
- 高温・高圧の雰囲気
- 防爆エリア
こうした環境でも、適切な機種を選べば安定した測定が可能です。
金属加工、樹脂成形、半導体、食品、医療の現場まで、赤外線を読み取る技術は、業界を問わず多くの生産現場を支えています。
ジャパンセンサーの放射温度計
ジャパンセンサーは、1976年の創業以来、放射温度計に特化して技術を磨き続けてきたメーカーです。
用途別モデル、2色方式、高速応答、ファイバ型など多彩なラインナップで、これまで26,000件以上の導入実績を積み重ねてきました。
技術的な強み
特に、次のような”現場で本当に必要とされる性能”を追求してきた点は、大きな強みです。
- φ0.15mmの微小スポット測定:世界最高クラスの分解能
- 0.1msの高速応答:瞬間的な温度変化も逃さない
- 過酷環境向けの光ファイバ型:誘導加熱、防爆エリアにも対応
- 特注対応・現場に合わせた光学設計:標準品で対応できない測定もご相談可能
当社の製品は、本当に現場で求められる性能にこだわっています。
“このワークは測れるだろうか?”
そんな疑問にも、専門エンジニアが丁寧に対応します。
まとめ
放射温度計は、物体が放つ赤外線を読み取り温度を測定する技術です。
正確に扱うには、放射率・測定距離・視野・検出素子などの理解が欠かせません。
ジャパンセンサーは長年培った光学技術と豊富な現場知識を生かし、
用途に応じた最適な放射温度計をご提案します。
「正しく測れる放射温度計を選びたい」
そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください。
ジャパンセンサーの放射温度計ラインアップ
デモ依頼・見積依頼・お問い合わせ


「見積について相談したい」「機種選定についてアドバイスがほしい」「他社の事例を教えてほしい」など、お気軽にご相談ください。
